中間選挙を前に「アメリカ経済は回復した」とアピールするトランプ政権
今日はまずアメリカのニュースから見ていきたいと思います。
トランプ政権は、製造業や建設業の雇用、そして労働者の賃金がバイデン政権時代と比べて改善しているとして、さまざまなデータを公表しています。
ホワイトハウスによると、2026年に入って製造業の雇用は増加し、製造業や建設業で働く人たちの実質賃金も上昇しています。もちろんこれはトランプ政権自身が出している資料ですから、中間選挙を前に「共和党政権になってアメリカ人の生活は良くなった」とアピールする意味もあります。
アメリカでは民主党をブルー、共和党をレッドと呼びます。先日アメリカから来られた方に「あなたの州はブルーステイト? レッドステイト?」と聞いたら、「ディープパープルよ」と言われました。民主党と共和党がかなり拮抗しているということで、なかなか上手な言い方ですよね。
フランスで広がる抗議と移民問題
一方、ヨーロッパではフランスの抗議運動がさらに大きくなっています。
最初は高校生たちが、教師不足や教育環境の改善を求めて始めた抗議でした。それが物価高、賃金、失業、社会格差への不満まで巻き込み、大規模な運動へ広がっています。
その中では、一部の参加者が黒い服やマスクで顔を隠し、警察との衝突や放火、破壊行為に加わるケースも出ています。
トランプ大統領は、こうしたフランスの混乱について移民政策を強く批判しています。移民の家庭では、親世代が言葉の壁などから低賃金の仕事に就かざるを得ず、その子どもたちが社会への疎外感や不満を抱えていくという問題も指摘されています。
ただし、フランス当局は現在の暴動や破壊行為を「移民が主導している」とは認定していません。トランプ大統領側は移民問題との関連を強く主張していますが、ここについては見方が分かれているところです。
それでも、移民政策、生活費高騰、教育格差、失業などが一つの大きな社会不安として重なってきているのは確かだと思います。
アメリカとイスラエルは再びイランへの圧力を強化
そして中東では、アメリカとイスラエルが再びイランへの圧力を強める方向へ動いています。
ネタニヤフ首相もイランに対して非常に強い姿勢を示しています。イスラエルでは選挙を控えていますので、国内政治も絡んできます。
さらにアメリカは、安全保障上のリスクが高まっているとして、サウジアラビアにいる非緊急の政府職員やその家族に国外退避を命じています。
イランとフーシ派による攻撃の可能性が高まっているという判断です。中東情勢は、まだまだ落ち着く状態ではないということですね。
トランプ大統領がMusk氏にStarlink制限解除を要求
そしてウクライナについて、面白い動きがありました。
ウクライナ軍にとって非常に重要な通信インフラになっているStarlinkに、速度などの制限がかけられていました。これによってドローンの運用や前線での通信に影響が出ていました。
トランプ大統領はイーロン・マスク氏に対して、この制限を解除するよう求めたと報じられています。その後、通信は改善しています。
ここがなかなか複雑なんですよね。
一方では、トランプ政権はロシアへの経済制裁を緩和する方向を検討している。ところがもう一方では、ウクライナ軍が利用するStarlinkの制限を解除させる。
「アメリカは一体どちらの味方なの?」というようにも見えます。
ただ、今のトランプ大統領の動きを見ていると、単純にロシア側、ウクライナ側ということではなく、双方との関係を使いながら戦争を終わらせようとしているようにも見えます。
その裏でロシアからアメリカへ初のディーゼル輸送
そこでアルジャジーラを見ていると、「なるほど、そういうことなのか」と思ったニュースがありました。
ロシアからアメリカへ、初めてディーゼル燃料を積んだタンカーが送られるというニュースです。
ロシアは10月9日にディーゼル輸出規制を解除し、約4万トンのディーゼルを積んだタンカーをアメリカへ送ることになりました。
アメリカはロシアに経済制裁をしているはずなのに、ロシアからディーゼルを買う。
「制裁なの? 経済的に助けているの?」という不思議な状態に見えますよね。
でもアメリカ国内では現在、ディーゼル価格や冬の暖房費が大きな問題になっています。中間選挙を前に燃料価格がさらに上がれば、当然トランプ政権には不利になります。
少し前にはウィットコフ氏がロシアを訪問しています。私は、あの時にもエネルギーを含めてさまざまな話が行われていたのではないかなと思っています。
トランプ大統領は、ロシアとの関係、ウクライナ支援、国内のエネルギー価格という三つの問題を同時に動かさなければならない。かなり難しい綱渡りをしているように見えます。
中国製の「監視チップ」まで排除するアメリカ
中国については、アメリカが中国製半導体の排除をさらに一段階進めています。
今回、アメリカのFCCは、中国のHuawei傘下HiSiliconが製造した監視用半導体を搭載する機器について、アメリカ市場への参入を認めない判断をしました。
対象になったのは車載カメラや無線映像送信機で、使用されている半導体には顔を検出する機能などが組み込まれています。
ここで重要なのは、完成した中国製品だけを規制するのではなく、その中に入っている中国製のチップまで見るようになってきたということです。
これまで何度もお話ししている「チャイナクレンジング」が、半導体や監視システムのさらに細かい部分まで進んできています。
AI株が下がっていても、Metaはさらに巨額投資
そしてAI関連です。
最近、AI関連企業の株価が大きく下がる場面が出ています。理由の一つは、AIへの投資額があまりにも巨大になっていることです。
データセンターを作る。高性能な半導体を買う。発電設備を用意する。送電網も必要になる。
AI企業は将来の成長のためにとんでもない額のお金を投入しています。
そのため、「本当にこれだけのお金を回収できるのか」「キャッシュフローは大丈夫なのか」という不安が市場に出ています。
それでもMetaやGoogleをはじめとする巨大テック企業は、AIへの投資を止めていません。
Metaが議決権のない新しい株式を作る理由
Metaは今回、新たに議決権のないClass C株式を作ることを決めました。
この株式を使えば、将来的に新しい資金を調達したり、企業買収や従業員報酬などに利用したりしても、既存株主の議決権を薄めにくくなります。
特にMetaは、AIインフラを作るために今後さらに巨額の資金が必要になると説明しています。
ちなみにライブでは「1,350億ドルの新しい株式を発行する」と話しましたが、ここは少し違いました。
1,350億~1,450億ドルという数字は、Metaが2026年に予定している設備投資額です。 新しいClass C株そのものを1,350億ドル分発行すると決まったわけではありません。
それでも年間1,000億ドルを大きく超える設備投資というのは、ものすごい金額ですよね。
株価が下がっていても、企業はその先を見ている
ここで面白いのは、株式市場がAI投資を心配して株価を下げている一方で、企業側はさらにAIへお金を入れているということです。
短期的には「お金を使いすぎではないか」と市場は心配する。
でもMetaやGoogleなどは、その先にあるAI社会を見て、「ここで投資を止めるわけにはいかない」と判断している。
このギャップは非常に面白いと思います。
ですからAI関連株が下がった時に、それを「AIはもう終わった」と見るのか、それとも「次のインフラを作るための巨大投資期間に入っている」と見るのかで、全く違った見え方になります。
もちろん、どの企業でも成功するわけではありませんし、投資についてはそれぞれが財務状況やリスクをよく見る必要があります。
ロシア産ディーゼルが示す「敵と味方だけでは読めない世界」
今日のニュースで私が一番面白いと思ったのは、やはりロシアからアメリカへディーゼルが運ばれるという話です。
アメリカはロシアへ制裁をかけている。
ウクライナを支援している。
しかしロシアから燃料を買う。
そしてウクライナ側にはStarlinkを使わせながら、その通信には制限もかけていた。
こういうニュースを一つずつ見ていると「矛盾している」と思います。
でもエネルギー、国内選挙、外交交渉、戦争終結というものを全部一緒に考えると、アメリカがかなり複雑なバランスを取ろうとしていることが見えてきます。
今の国際情勢は、「この国は味方、この国は敵」という単純な構図では読めなくなっています。
アメリカのニュースだけを見るのではなく、アルジャジーラやヨーロッパ、ロシア側など違う地域のニュースを重ねてみると、「ああ、だからこちらではこう動いているのか」というものが見えてきます。
一つの方向からだけではなく、いくつかの視点を持って世界を見ることが、今はとても大切だと思います。
※本記事は特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。投資については、ご自身で企業の財務状況や事業内容、リスクなどを確認した上で判断してください。
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