スーダン内戦の裏で進む「金脈争奪」と国際勢力の思惑
1.スーダン内戦の構図と背景
現在、アフリカ北東部のスーダンでは政府軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で激しい戦闘が続いています。内戦が本格化したのは2023年4月。もともとは2021年の軍事クーデター後、軍隊の統合をめぐって対立が深まり、武力衝突に発展しました。
この国はもともと1821年からエジプトの支配下にあり、その後1899年にイギリスとエジプトの共同統治という形で再び植民地化されました。1956年にようやく独立を果たしたものの、英エジ共同統治時代に引かれた国境線によって、国は「北と南」に分断されました。
北部はアラブ系イスラム教徒が多数を占め、豊富な資源と政治権力を持ちます。一方、南部はアフリカ系キリスト教徒が多く、資源にも乏しいため、長年にわたって不平等構造と宗教対立が続いてきました。
2.「分断」は誰が仕掛けたのか?
ミシュランえり氏が指摘するように、スーダンのような紛争地域では「分断構造そのものが仕組まれている」ことが多いのです。宗教・民族・貧富といった違いが意図的に強調され、内部対立を作り出すことで、外部勢力が介入しやすくなるのです。
これはスーダンに限らず、LGBTQや男女の対立といった社会テーマでも同様の構造が見られます。区分や線引きが増えれば増えるほど人々は対立し、混乱が生まれ、その隙間に巨大なビジネスや政治的思惑が入り込むのです。
3.介入する「正義の顔」:アメリカとサウジアラビア
現在の内戦には、アメリカやサウジアラビア、UAE、エジプトといった国々が「停戦仲介」という名目で介入しています。これらの国々は「和平ロードマップ」を提示し、戦闘停止を呼びかけていますが、裏では複雑な思惑が絡んでいます。
報道によれば、アメリカとサウジアラビアはRSF側(元民兵組織)に対し、資金や兵器を供与しているとされています。実際に武器のシリアルナンバーが一致したケースも報告されており、「和平支援」の裏で金脈と資源を押さえる動きが指摘されています。
4.金脈をめぐる国際勢力の衝突
スーダンは金の産出量がアフリカで第3位に位置し、“金脈の国”とも呼ばれています。この豊富な金資源をめぐって、RSFが鉱山地域を実効支配しており、そこにアメリカ・サウジの資金が流れ込んでいるという報道もあります。
一方で、スーダン政府軍を支援しているのはロシアと中国。特にロシアは「ワグネル・グループ」を通じて金採掘の権益を確保し、中国はインフラと資源開発で政府側を支援しています。つまり、スーダンの内戦は「米・サウジ vs ロシア・中国」という新たな代理戦争の様相を呈しているのです。
5.紛争は“偶然”ではなく“構造”である
歴史的に見れば、スーダンのようなアフリカ諸国で紛争が絶えない背景には、旧宗主国や国際金融勢力の「分断戦略」があります。民族・宗教・資源という軸を使って国を割り、内戦を長引かせることで、外部からの軍事支援・復興支援・開発投資などで利益を得る仕組みです。
表向きには「人道支援」や「平和維持活動」を掲げながら、裏では資源と市場を押さえるというのが、21世紀型の“経済的植民地”の姿ともいえます。
6.情報戦とメディアの偏向
こうした現実は西側メディアではあまり報じられません。えり氏が紹介した「イラン・ラジオ日本語版」は、非西側の視点から国際情勢を分析する貴重な情報源のひとつです。スーダンの内戦でも、西側報道では“人道危機”が強調される一方、背後にある「金資源争奪」や「地政学的代理戦争」の実態はほとんど語られていません。
7.まとめ:善意の仮面をかぶった“資源戦争”
スーダン内戦は、単なる内政問題ではなく、世界のパワーバランスが投影された構造的な紛争です。アメリカやサウジアラビアが掲げる「平和仲介」は、裏を返せば資源の掌握と影響力の拡大を狙った動きでもあります。
歴史的に見ても、外部勢力が「停戦」や「援助」を口実に介入するたび、現地の混乱は深まる傾向にあります。私たちが国際報道を見るとき、表面的な善悪の物語ではなく、その背後にある「利権の流れ」「資源の所有構造」「どの国が得をしているのか」という視点を持つことが大切です。
スーダンの紛争もまた、21世紀の“新しい帝国主義”の一断面といえるでしょう。
学んだことをアウトプットしよう!