【BOOST UP WORLD】フェンタニル解説ー6/12

沿って | 2025年6月12日

アメリカ社会を蝕む“ゾンビ薬”フェンタニルの実態とは

フェンタニル中毒の恐ろしい現状

今、アメリカで深刻な社会問題となっているのが、合成オピオイド「フェンタニル」の中毒です。ニュースなどで「ゾンビのような姿」と形容されるこの症状は、実際には筋肉の弛緩によって体を支えられなくなることが原因です。意識が途切れがちになり、呼吸も弱まり、最悪の場合は突然死に至ります。

2022年の統計によれば、カリフォルニア州で6,453人、フロリダ州で5,083人、ニューヨーク州で4,950人がフェンタニル中毒により死亡しています。これは氷山の一角にすぎません。

オピオイド危機の背景:医療費と貧困

なぜこれほど広まっているのでしょうか?その背景には、アメリカの高額な医療費が大きく関係しています。

正規の薬が高額で手が届かない人々、特に低所得層やホームレスの多い地域では、違法薬物に手を出すケースが後を絶ちません。中でもウエストバージニア州のように、貧困率が高く、かつオピオイド系の鎮痛剤が過剰に処方されてきた地域では、フェンタニル中毒の蔓延が顕著です。

トランプ大統領はこの医療費問題の是正に取り組んできましたが、根本的な解決には至っていません。

フェンタニルとは?その薬理作用と歴史

フェンタニルは、モルヒネの50〜100倍の鎮痛効果を持つ合成オピオイドです。元々はがん性疼痛や手術時の麻酔補助として医療現場で使用されてきました。1960年代にベルギーの製薬会社ヤンセンが開発し、1968年にはアメリカで医療用として承認されました。

日本でも1980年代後半からがん患者の疼痛管理に用いられるようになりましたが、2000年代以降、違法使用が急増。2016年にはアーティストのプリンスがフェンタニルの過剰摂取で亡くなり、世界的な注目を集めました。

致死量はわずか「数粒」―だから危険

フェンタニルの致死量はわずか2ミリグラム程度。これは食塩の粒に換算すると数粒程度です。

問題は、それが偽薬に混入されていることです。オキシコドンやザナックスなどの処方薬に見せかけた偽薬が、SNSやTiktokを通じて流通しており、中高生が「痛み止め」や「睡眠薬」と信じて服用し、死亡する例が多数報告されています。

フェンタニルの密輸経路:中国→メキシコ→アメリカ

この薬物がどこから来ているのかというと、前駆体(原料)は主に中国(湖北省や河北省)から供給され、メキシコのカルテルによってフェンタニルに加工され、アメリカに密輸されます。こうした構造は「製造→加工→流通」の三段階で完成されたルートです。

さらに驚くべきはその利益率です。製造コストは一錠あたり約0.17円に対し、販売価格は400円〜7,000円。約11万円の元手で、1億7,000万円近くの利益が出ると試算されており、12歳の子どもが製造に関与している事例もあるというのが現実です。

中国共産党の関与も?米国内での不信感

FBI元長官カッシュ・パテル氏は、次のような点に注目しています。

  • フェンタニルを製造するのは中国
  • しかし、中国国内での死亡例は報告されていない
  • 被害が出ているのは、アメリカだけ

このことから、アメリカを標的にした何らかの戦略的意図があるのではないか、という疑念が一部では語られています。

日本も他人事ではない

日本国内でもフェンタニルは医療用に使用されています。処方薬として正しく使われている一方で、知識のない人が誤って複数枚のフェンタニルパッチを使い死亡する事故も報告されています。

さらに、SNSを通じて日本の若者が偽薬を手にする可能性も否定できません。

まとめ:フェンタニル問題が突きつける未来

今回のテーマ「フェンタニル」は、単なるドラッグ問題ではありません。社会の格差、医療制度の歪み、グローバルな犯罪経済の構造、そして地政学的な戦略までが複雑に絡み合う、現代の縮図そのものです。

次回以降も、このように「一見他人事に見える問題」が、私たちの生活とどうつながっているのかを紐解いていきたいと思います。

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